第４章　（８月３日）



○　若年寄に起こされる

朝は、早起きの若年寄りＴの悪戯で起こされた。夏とは言え、信州の山奥の大桑村は朝が結構冷える。それにしても寒いので気がつくと扇風機が私の方に向いていて最大風力で回っていた。それでも気にせずに、起床予定の７時ぎりぎりまで寝ていたが。　この日も快晴。前日の打ち合わせで、折角今日もほとんどの行程を高速走行するのだから、やはり気になるＥＸ−４のチェーンの伸びはどこかバイク屋で調整してから高速道路に乗ろう、という事になった。取り敢えず中津川まで行って、そこでバイク屋を探す事にした。

２日目の行程は、中津川もしくは恵那から中央自動車道に乗る。名神の一宮ＩＣで一旦降りて、２２号線で清洲東ＩＣまで行き、そこから東名阪自動車道〜名阪国道〜西名阪自動車道を経由して近畿自動車道の松原ＩＣまで走る。今日はほとんどが高速走行になる。

○　阿寺渓谷散策

ばあちゃんにはお礼を言う。なんでも昔息子さんをバイクで亡くしているらしく「くれぐれも気をつけて帰るように」と声を掛けてもらった。ばあちゃんもお元気で。

中津川に向かう前に阿寺渓谷の入り口に立ち寄ってから１９号線を南下して、中津川を目指した。出発の８時半には太陽がギラギラと照ってきていた。昨日は途中半袖に久々のＲＹＵＢＥユニフォーム（チョッキ）を重ねていたのだが、見事に真っ赤に腕が焼けてしまった。その反省で今日は最初から長袖を着て出発したのだが、今から暑い、暑い・・・。
中津川駅で休憩し、公衆電話からバイク屋を探す。意外とバイク屋が少ない。３件目の所でようやく調整してもらえる、との事。隣町の恵那まで走る事になった。それ程大きくないバイク屋だったが、丁寧に調整をしてもらった。これでＴも一安心だろう。恵那ＩＣから中央自動車道に乗る。

（阿寺渓谷の入り口。透き通った水が心地良かった）

○　ハイウェイクルージングで大阪へ

一宮まではそれ程距離は無い。恵那からすぐにアクセルを開けた。中央自動車道はカーブが多く制限速度は８０km/hだ。高速道路でありながらアクセルのオンオフをテンポ良く行って、快調に飛ばす。そのうち後ろからＢＭＷのＺ３が追いかけてきて、しばしＺ３の後をくっついて走った。
一宮で一旦高速をおりて１５分ほど２２号線を走って東名阪自動車道に接続するのだが、２２号線に平行して都市高速道路を建設中であった。名古屋も高速道路の環状線化が進んでいる。大阪もこれくらい徹底して高速を作れば慢性的なあの渋滞も少しは減るだろうに・・・。と愚痴をこぼしながら名古屋の道を走る。
東名阪自動車道から名阪国道までの道は期待したほどの景色では無かった。バイクで走るのは初めてだったが、一回走ればもう充分な道だ。名阪国道は無料とは言え高速道路となんら変わらない。そのくせ、制限速度は６０km/hというのだから、ふざけた話だ。覆面・レーダーが多いと聞いていたので注意しながら走るが、すぐに我慢できなくなってアクセルを捻った。

この日は日中３３度まで気温が上がったらしい。暑さと２日目という疲れ、そして車の多さのなかで、名阪国道から西名阪自動車道の行程はかなり苦しい運転となった。天理の手前の坂でにわか雨にうたれて、すこし涼しくなったが、奈良盆地に降りてきたら嘘のようにカラッと晴れていた。香芝ＰＡで最後の休憩。ようやく大阪に戻ってきた。松原ＩＣを降りたのは３時過ぎだった。行きとは打って変わって大渋滞。Ｔは高速道路で置いていかれた腹いせか、ガンガンすり抜けて前に前に行く。がたいのでかいＺＸ−１１ではとても同じようにすり抜けてはいけない。クタクタになってＴの家に戻ってきたのは４時前だった。

総走行距離は４９５マイル、約７９２ｋｍ。特に大きなトラブルも無く、無事帰ってこれた。Ｔの家で気がついたら３０分程寝ていた。夏のツーリングはやはり体力的にきついものがある。

Ｔの家を後にしてから、実家に寄ってバイクを洗車し、チェーンオイルをさした。ロングツーリングから無事帰ってきた時、相棒のＺＸ−１１は逞しく、なんとも愛しく感じる。「ご苦労さん、また頼むな」そう声をかけて、嫁さんの待つ自宅へと向かった。

（約８００ｋｍの長旅を終えて、実家前でＺＸ−１１を洗う。
体は疲れているが、心は充実。
ロングツーリングを走り終えて、洗車をしている時は
いつにも増して、相棒のＺＸ−１１がいとおしく感じる）

○　追伸

信州ツーリングから一週間後の８月１０日、相棒のＺＸ−１１を出して西宮の鳴尾浜まで走った。目的は鳴尾浜で１２時半から行われるウエスタンリーグ、阪神・広島戦を観にいく事。

前日には台風が直撃して、大阪市内は結構な風が吹いたがＺＸ−１１はその重量が幸いしてか（？）なんともなかった。カバーをあけてセルを回す。一週間前にあれだけ走ったからか、チョークを引くまでも無く、一発でエンジンは力強くかかった。

一週間前と同じような暑い日差しの中。私の住む堺から鳴尾浜までは阪神高速湾岸線で３０分程だ。高速に入るとすぐに一番左側のレーンに入り、ゆっくり流す。８０km/h程で巡航する。この日は右レーンをばんばん車が追い抜いていく。左手には大阪湾、右手は遠くに大阪市街が広がる。３車線の湾岸線からの展望は抜群だ。高速に乗る前にカワサキ店に寄ってアクセルワイヤーとチェーンの調整をしてもらった。アクセルを軽く当てると、グングンＺＸ−１１は加速していく。日差しはきついが、風が心地よい。

なんとなく流しているだけだけれど、楽しくて仕方が無い。　しばらくは、またバイクにはまりそうだ！！

（備考・総費用）

１．ガソリン代　（４３．５３Ｌ、燃費１８．２Ｌ）　 　　　　　　　　 　　￥５，１０３-
２．高速代　　１日目・近畿自動車道〜東海北陸自動車道　　￥４，４５０-
　　　　　　 　 ２日目・中央自動車道〜西名阪自動車道　　　　￥３，３００-
３．宿代　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￥２，５００-
４．温泉代　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￥　　８００-
５．食費・飲み代その他　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￥３，０００-

　　（合計）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￥１９，１５３-